中学受験のトップ層の勉強時間

中学受験のトップ層のなかには、「あまり勉強させていない」「1日30分くらいしか勉強させていない」というかたたちがいます。
それは本当でしょうか。検証しています。


勉強時間の長さではなく「質」が大切なのは大前提

いくら勉強時間が長くても、ずっとぼーっとしていると意味はありません。
また、「問題を解けるようになったのか」「きちんと理解できたのか」などが重要なので、たとえ勉強している間、集中していたとしても、結局、「問題が解けなかった」「理解できなかった」などであれば、勉強の効果はあまりなかったと言えます。

量よりも質。
勉強の時間の長さに固執してもあまり意味はありません。

このページでは、このことは当たり前のこととしています。つまり、勉強の取り組みかたについては問題がない家庭を前提としています。

偏差値からおおよその勉強時間は逆算できる

「4年生の7月に鶴亀算と四角形の面積、8月に三角形の面積」

塾にはこのようなカリキュラムがありますが、なぜカリキュラムを組めるのだと思いますか。

それは塾側の人が、「このレベルの子どもに、これを習得させるにはおよそ何時間くらいかかる」を把握しているためです。
つまり、たとえば「小4の上位クラスの子どもでも、授業時間内で鶴亀算のあらゆるタイプの問題を解けるようにするのは難しい。だから、鶴亀算の学習内容を分割して基本とやや難しい問題だけを小4で教えよう」という感じでカリキュラムを組んでいるのです。

さて、話は変わって模試ですが、塾では子どものレベルを把握していることもあって、基本的にはつぎのようにつくられます。

・上位クラスのうち、×割の子どもが偏差値60になるような問題構成にしよう。
・小4の上位クラスの子どもは、テキストのこのレベルの問題まで、すらすら解ける
・つまり、テキストの応用問題を×問入れて、あとは満点続出にならないように、この難問を入れれば、×割の子どもが偏差値60になる

以上をまとめると、つぎのような予測ができます。

・偏差値60を超えるには、テキストのこのレベルの問題まで、すらすら解けるようにする必要がある
・そのためには、×問解く必要がある。1問あたり×分で解いて×問やりなおすとして×時間かかる。家庭学習で×時間は必要だな

というわけで、偏差値からどのくらいの勉強量が必要なのか逆算できるわけですね。
つまり、偏差値70の子どもが1日あたりどのくらい勉強しているのかの目安がわかります。

もちろん、あくまで目安なので正確な逆算はできませんが、少なくとも「偏差値が高いのに『うちの子ども1日30分しか勉強しないの!』は嘘だな」「偏差値が高い=勉強時間が長い」などはわかります

勉強時間を圧縮できるケースは限られている

先ほど偏差値からだいたいの勉強時間を推測できると書きましたし、普通はこの目安の時間を大幅に短くすることはできないと思います。
しかし、以下のケースは例外です。

・神童の場合
・斬新な教えかた

ただ、いずれもレアケースなので、今回の話からは除外して考える必要があると思います。

トップ層は、なぜ勉強時間を正直に言わないのか?

トップ層の親のブログを読んでいると、「1日30分しか勉強させていない」などと、まるで勉強させていないがことく書いているところがあります。
ほかにも、最難関中に合格した子どもをもつ親のなかにも、「低年齢の勉強には反対」と書くひとたちもいます。

しかし、前述の通り、神童や斬新な教えかたを編み出さない限り、「偏差値が高い=勉強時間は長い」は明白です。
なぜこのような嘘をつくのでしょうか。
考えられる理由は3つあると思います。

1.リアルな勉強時間を公開すると非難されるから隠している
2.競争相手を減らしたい、綺麗事を言いたいなどで、本当のことは言わない
3.「勉強」という言葉の定義がちがう

上記1。
「小さい子どもに勉強ばかりさせて可哀想!」というかたたち、「教育虐待だ!」とまで言うかたたちがいます。
こういうひとたちとの余計なトラブルを避けるために、勉強時間を隠している可能性です。

ちなみに、なぜ、低年齢での勉強を非難するのでしょうか。
個人的には以下のようなことだと思っています。

・自分の子どもが勉強しなくて、嫉妬している
・自分自身が勉強嫌いで、みんながみんな自分と同じと思い込んでいる
子どもがうつ病を発症するまでの教育、すなわち、教育虐待を憂いている

上記2。 そのままなので、割愛します。

上記3。
長くなるので下記にて説明します。

「勉強の言葉の定義がちがう→勉強時間は短い」となっているのでは!?

低学年から子どもに教育しているトップ層は、わたしには勉強としか思えないものもすべて「習い事」「教養」などとしていることがあります。

<わたしには勉強としか思えないことの例>
・公文式 → 習い事
・日常生活で数の概念や単位を教えたりする(算数) → 教養
・日常会話で、理社の知識を教える → 教養
・パズル、歴史のマンガなど → 教養

ほかにも子どもが低年齢のうちから、親がいろいろな周辺知識を身につけさせているようです。
これも勉強の範ちゅうに入ると思います。

こういうものをすべてひっくるめて勉強時間にいれると、トップ層の勉強時間は膨大な時間になるのではないでしょうか。

それ以外にも、つぎのように感じ方のちがいもあります。

(例)1日1時間勉強して、5時間遊ぶ
・ふつうのひと → ものすごく勉強した! ひょっとして東大に合格するかもしれない…。
・勉強が好きなひとたち → ものすごく遊んでしまった…。もうダメかもしれない…。

結局、トップ層でいるためには、相応の勉強時間が必要だということです。
当たり前の話なのですが、ネットでは実情よりも少なく書かれることが多くてそこだけはネットの情報をうのみにしないほうがいいかもしれないな、と思って記事にした次第です。

筑駒・開成を受験する家庭の勉強時間

つぎのブログから勉強時間をざっくりと計算してみました。
※授業時間を含む。

・筑駒・開成を受験
・勉強時間を記録
・ブログの運営主も信用できそう

結果は以下。

・小3まで:小3の時点で算数塾に通っていた記述あり
・小4:1日あたり、平均2.5時間
・小5:1日あたり、平均3.5時間。夏休みは1日あたり平均4〜5時間かな?

「灘中を目指す場合は、(勉強時間)=(学年)×(1時間)」というプロの記事がありますが(授業時間を含む)、それよりも少ないものの、相当な勉強時間です。

…大したことはないって?
平均ですからね。つぎのように計算してみればその大変さがわかります。

<家庭学習の場合>
・平日:2時間
・土:6時間
・日:遊ぶ
→小4の場合、平日は小学校。帰宅後は宿題と夕食で17時30分。ここから勉強、風呂、自由時間とすると2時間でも勉強漬けと感じると思います。土曜は地獄。つまり、週6日は勉強漬けで地獄。が、これで1日あたりの平均は、2.3時間!

もちろん、子どもの地頭、塾講師や親の指導力もあるので勉強時間だけでは何ともいえないのですが、目安――「最難関中のレベルに到達するにはめちゃくちゃ勉強しないといけない」くらいはわかるのではないでしょうか。

教育虐待を防ぐためにも勉強時間は把握しよう

「トップ層は、もっと勉強させている!」

そう思うと、勉強時間がやたら長くなって、教育虐待につながることもあるかもしれません。
そこで、個人的には勉強時間を意識して「上限」を決めたほうがいいと思っています。
たとえば「1日1時間を絶対に超えない」みたいにする感じです。
ただ、子どもによって限界は異なるので、子どもの限界を把握しておく必要はあると思います。

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