受験算数の先取り学習のメリットとデメリット

受験算数の先取り学習のメリットとデメリットを紹介しています。


受験算数の先取り学習のメリット

受験算数の先取り学習のメリットです。

ライバルに圧倒的な差をつけることができる!

先取り学習をしていない子どもたちは、「授業を聞く」「宿題をする」だけで時間がとられます。
一方、先取り学習で基本だけでもおさえておくと、つぎのような流れになります。

・塾では先取り学習と同じことを勉強するので、記憶が強化される
(例)先取り学習で「旅人算」を学習していたとします。すると、塾の旅人算の授業を聞いているだけで復習になります。

・塾の宿題は瞬殺。しかも復習にもなる。応用問題や、さらなる先取り学習に時間を割ける
(例)旅人算の宿題は瞬殺。それだけではなく旅人算の復習にもなります。また、旅人算の応用問題を解く時間、さらなる先取り学習の時間が捻出できます。

ライバルと圧倒的な差ができるわけですね。

ちなみに、12年前に出版された算数の勉強法の本にも同じことが書かれていました(著者の公式サイトに本の内容がありました)。

先取りの目的は「受験勉強全体の効率化」です。先取りを破綻なく進められれば「塾の授業・課題が復習の役割を果たす→塾の課題にかかる時間が短縮されて余剰時間が生まれる→その時間をさらに先取りに充てられる」というサイクルが生まれます。そして、この「常に先行投資を繰り返す」というサイクルが加速されれば、他の受験生に対して圧倒的な格差を作ることができます。
引用:https://www.kumano-takaya.com/blank-4

昔から先取り学習のメリットについては知られているようです。

算数の思考力がアップして、現学年の応用問題も解けるようになる!

受験算数を理解させることができれば、算数の思考力がアップします。
先取り学習することでイマイチ理解できなかった現学年の応用問題も、きちんと解けるようになります。

「浮いた時間」を受験勉強の負担軽減やほかの科目にまわせる!

時間がたっぷりある低年齢のうちに受験算数の先取り学習をしておけば、「浮いた時間」ができます。

(例)小2までに、小6までの受験算数の基本が終わる → 小4から小6までの算数の授業の時間は浮く!

小5以降の負担をかなり減らせます。中学受験では「午前1時まで勉強」などの話もあるようですが、それを避けることもできるわけですね。
※ただし、競争がさらに激化したら、どうなるかわかりません…。

ほかにも、一番時間がかかる算数の勉強の一部が終わっているわけなので、ほかの科目に時間を割くこともできます。

難関中の入試対策ができる!

ものすごくかんたんな例で考えてみます。

1.足し算の問題(例:6+8)
2.引き算の問題(例:17−9)
3.かけ算の問題(例:4×9)
4.わり算の問題(例:64÷8)
5.四則演算の問題(例:6+7×6−9)
6.四則演算の応用問題(例:3+□×4=15)

まずは、それぞれの単元を学習します。
上記1から4までですね。

それができれば、混合問題を解きます。
上記5ですね。

最後に応用問題を解きます。
上記6ですね。

ふつうのカリキュラムだと、上記1から4までで受験期、かろうじて上記5ができるようになって入試をむかえると思います。

中堅校を目指しているのであれば、それで十分だと思いますが、難関校を目指す場合は話は別です。
難関校では上記6のような問題が出題されるので、解けるようにしておかないといけません。
しかし、ふつうのカリキュラムだと上記6にまわせる時間的な余裕がないので難関中で合格点をとるのは難しくなります。

そこで、先取り学習です。
上記1から4までをはやい段階で終えてしまって、上記5と6に時間を割きます。
このようにすることで、難関中の問題を解く時間を確保できるようにするわけですね。

受験算数の先取り学習のメリット(総評)

難関中を目指す場合は、つぎの2点で先取り学習は有効な戦略の1つといえます。

1.授業や宿題が復習になって定着率が高くなる、宿題も瞬殺で時間的なゆとりができて応用問題や、さらなる先取り学習にも着手できる
2.小5の終わりに一通りの勉強が終わると小6に応用問題を解く時間ができる

難関中宇を目指すわけではない場合は受験期の負担を減らすことができるというメリットがあります。

受験算数の先取り学習のデメリット

受験算数の先取り学習のデメリットです。

受験算数の先取り学習で、破綻するリスクがある

先取り学習とは、ほかの子どもがする学習を先に済ませまることです。つまり、先取り学習が進めば進むほど、子どもの負担は大きくなります

小2が先取り学習をする場合

<1学年の飛び級>
・小3で学習する内容
→1年分の勉強量!

<2学年の飛び級>
・小3、小4で学習する内容
→2年分の勉強量!

<3学年の飛び級>
・小3、小4、小5で学習する内容
→3年分の勉強量!

塾がはじまれば、塾ですべきことがあります。
それに加えて先取り学習をすれば、勉強すべきことが多くなりすぎてパンクする可能性があります。
塾に通いはじめたら、時間の関係で1学年の飛び級が限界だと思います。

誰が教える?受験算数は教えるのが難しい!

先取り学習する場合は、以下の2つの方法が考えられます。

・プロに任せる(算数塾に通わせる、家庭教師を雇う)
・親が教える

前者はお金がかかります。
後者はほとんどのひとには教えられないと思います。なぜそう言えるのか。

受験算数は、数学とはちがう解きかたをするためです。
つぎのようなケースではない限り、教えるのは難しいと思います。

・中学受験の経験があって、教えかたを覚えている
・中学受験の経験がなくても、数学ができて算数の教えかたを研究しようと思える

ましてや低年齢の子どもに高度な算数を教えるには、上記に加えて教えるスキルもないと無理だと思います。

「そんなことはない! 予習シリーズがあるじゃないか!」

このように思ったかたもいるかもしれません。
確かに予習シリーズは素晴らしいテキストですが、解説が良くありません。

(解説が良くない例)
・すぐに公式
・低年齢、算数が苦手な子には向かない教えかたもある

解くスピードをあげるために、「いずれ」、公式を覚えさせることはあっても、はじめて学ぶときから公式はないわー、と思います。「根本」を教えないと、いずれ、ひっかかりますからね。

というわけで、「解説を読んでよくわからないものは飛ばす」などすれば、予習シリーズで受験算数を教えることはできますが、「どこを飛ばせばいいの?」などもあると思うので、やはり教えるのは難しいと思います。

中学受験でそこまでする必要はない!

中学受験はカリキュラムから鑑みて、「3年もあれば終わるんじゃないの?」と感じています。
つまり、たとえば「小3で入試問題を解けるようになったとして意味あるの?」と思います。 むしろ、学力のピークを考えると、低年齢で勉強を終わらせるのは不利になる可能性さえあります(もっとも算数と国語に関してはピークはそれほど心配する必要はありません。もっとも教えかた次第ですが)。

【番外編】デメリットではないもの

つぎのように主張するかたたちがいますが、わたしは大嘘だと思います。

1.低年齢で受験算数を勉強するのは害! → 大嘘
2.親が関与すると、伸びしろがなくなる! → 大嘘

まずは、上記1。
ネットで、「低年齢で受験算数を勉強するのは害! パズル系・思考力系が良い!」をよく見かけますが、根拠はありませんよね。
それに騙された親が、ネットで記事にしているという感じでしょうか(親は悪くない!)。

こういうことを言うひとたちは、きっと、「植木算の×のパターンは+1とするんだ!」みたいに公式などの丸暗記で教えているのでしょうねー
そういうかたにとれば受験算数は害、…いや、そのかたが害ですな 笑

つぎに、上記2。
この手の主張をするかたたちって、非論理的で話が通じないので相手にしたくはないのですが、一度だけ。

どうやって調査したのですかね?
サンプル数は?

半永久的に稼働するコバエ型のスパイカメラを1000台、膨大で複雑なデータを処理・解析できるAIを所有していて、人権を無視して、「親の関与がどのくらいあったのか」「どのような関与だったのか」「塾でどのように教わったのか」「友達は?」などを、子どもが0歳から17歳あたりまでの間、データを取って解析したうえでの話であれば、「ごめんなさい」と土下座します 笑

…このように書いても、「×さんの家の×ちゃんは×だったから!」「親の関与が良くないのは、当たり前!」「×人に聞き取り調査した結果だから!」みたいな妄言ばかり吐いて、理解できないんだろうなー

受験算数の先取り学習のデメリット(総評)

受験算数の先取り学習は、親に教えるスキルがないと難しいです。
そして、通塾後に先取り学習をすると、負担が大きくて破綻するリスクもあります。
中学受験の全体を考えると、過度な先取り学習は意味がないという可能性もあります。

受験算数の先取り学習は戦略の1つにすぎない!

受験算数の先取り学習について、いろいろと書いてきました。
受験算数の先取り学習を推奨しているように感じたかもしれませんが、それは誤解です。
受験算数の先取り学習は、あくまで中学受験の戦略の1つにすぎないと考えています。
先取り学習についてあまりに的外れな批判が多いので、客観的なメリットとデメリットを書いた次第です。

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