数字カードで、繰り上がりのない足し算を教えよう!

数字カードを作って「繰り上がりのない足し算」を教える方法を解説しています。


1から100あたりまでの数を教えよう!

まずは、1から100あたりまでの数を教えます。

<注意事項>
おはじきがあれば便利です。
・うちは、ビー玉遊びで勝敗を決めるときに、ビー玉の数をかぞえさせました。すると、自然に覚えました。小さい子どもは遊びながら覚えさせるほうが効率的かつ効果的だと思っています。

・歌で数を覚えさせるのでも構いませんが、その際には「物」を使うようにしてください。
・ここで繰り上がりや繰り下がりの概念を教えたくなりますが、消化不良になると思うのでやめておいたほうがいいです。この段階では、「数えかた」と「数字」を丸暗記する感じでいいと思います。
・指での数えかたも教えてもいいのですが、10以上数えられなくなるので、10までの数は指で数えられるくらいにとどめておいたほうがいいと思います。

というわけで、具体的な方法です。

<第一段階>
・1から10までの数のかぞえかたを教える
・この際に、1、2、3…と、おはじきを数えさせる(小さな子どもは、おはじきという物がないとイメージできないものです。おはじきを用意しましょう
・1から10までの「数字」の書きかたを教える

<第二段階>
・11から21あたりまでの数のかぞえかたを教える
・この際に、11、12、13…と、おはじきを数えさせる
・11から21までの「数字」の書きかたを教える

<第三段階>
・数のかぞえかたを教えて、数えさせる(1、2、3…と数えさせるだけです)
・1から100あたりまでの数字を書けるようにする
事あるごとに、数えさせます。この際、繰り上がるときを特に練習させます(例:8、9、10、11)

これができれば、数字カードをつくります。

数字カードを作ろう!

「数字カード」で子どもと遊べば、効率的かつ効果的に算数の土台ができます。

<数字カードでできること>
・「繰り上がりのある、たし算」「繰り下がりのある、ひき算」まで教えることができます。
・カードという実物があるので、理解がはやいです。
ほぼ無料で作ることができます!

というわけで、「数字カード」のつくりかたです。
まずは、つぎのものを用意してください。

・コピー用紙2枚ほど
・ボールペン
・ハサミ

用意ができれば、コピー用紙をつぎのように折ってください。
※大きさは適当で構いません。



そこに「1」の数字を書いていきます。
あとは折り目で切っていきます。



これで、「1」のカードが大量にできましたね。



同じようにして「2」「3」「4」「5」「6」「7」「8」「9」「10」「50」「100」のカードをつくりましょう。

ちなみに、「1」は多めに、それ以外だと「5」「10」だけは若干多くしておいたほうがいいです。
※「1」で「10」をつくることもあるので、「1」は10枚以上は欲しいです。

(レベル1)【1】のカードと、ほかのカードを交換するゲーム

【1】の数字カードのを3枚、子どもの目の前に置いてください。
そして、自分の手元に、【3】【4】【5】【6】の数字カードを置いてください。



「数字カードをママ(パパ)のと交換して」

そう言ってみてください。
子どもがよくわかっていないようなら、つぎのように言ってください。

・【1】のカードは何枚ある?
・【1】のカードをかぞえてみるね。「1、2、3」となるから、何枚?
・【3】のカードと交換できない?

そして、子どもの手元にある【1】のカード3枚と、【3】のカード1枚を交換してください。

これでもわからないようなら、今度は子どもの手元にある【1】のカードを4枚にして、同じことをしてください。
この際、子どもに言うことも、まったく同じです。

それでもわからないようならば、今度は【5】のカードを5枚にして、同じことをしてください。
この際、子どもに言うことも、まったく同じです。

これを繰り返すうちに、【1】のカード数枚は、ほかのカードと交換できると気がつくと思います。

この際、テンションをあげて遊びましょう! 親がつまらなさそうにすれば子どもは楽しいと思わないためです。また交換できれば大げさにほめたり、喜んだりするといいでしょう。

<目標>
たとえば、以下がわかる。

「【1】【1】【1】【1】【1】【1】 → 【1】が6枚ある → 【6】のカードと交換できる」

<練習>
【1】のカードを3枚、子どもの手元に置きましょう。自分の手元には【2】【3】【4】のカードを置きます。これで「交換してみて」といってください。
※【1】のカードの枚数を変えて、練習させてください。


(レベル2)レベル1と「逆」の交換をするゲーム

今度は「逆」をしてみましょう。
たとえば、つぎのようにします。

子どもの手元に【3】の数字カードを1枚、置いてください。
自分の手元には【1】のカードをたくさん置いてください。



そして、「数字カードをママ(パパ)のと交換して」といってください。
さきほどの交換ゲームがしっかりできていれば、すぐにできると思います。

<目標>
たとえば、以下がわかる。

【4】は【1】が4枚 → 【4】のカードは【1】のカード4枚と交換できる

<練習>
・子どもの手元に【2】のカードを置いて、【1】のカードと交換させましょう。
※子どもの手元に置くカードは2〜5くらいの数字カードでいいと思います。
※すぐにできると思いますが、繰り返してください。
※「できそう」と思えば、6〜10までの数で交換ゲームしても構いません。それよりも大きい数の交換ゲームはやめておいたほうがいいかもしれません。


(レベル3)2回以上、交換するゲーム

【1】の数字カードを4枚、子どもの目の前に置いてください。
そして、自分の手元に、【2】【3】【5】【6】の数字カードを置いてください。

ここで「【4】はないの?」と思ったことでしょう。
【4】はありません。
一度で交換できるカードは置かないようにします



で、先ほどと同じように「数字カードをママ(パパ)のと交換して、枚数を少なくして」と言ってみてください。

「【1】【1】【1】と3枚ある。【3】のカードと交換できる」で、子どもの手元のカードは【3】【1】になります。
※【2】のカードと交換しても構いません。

ここで「できた!」と言うと思いますが――。

自分の手元に、さりげなく【4】の数字カードを加えてください。



そして同じように「数字カードをママ(パパ)のと交換して、枚数を少なくして」と言ってみてください。
【3】の3枚、【1】の1枚で、4と気がついて、【4】のカードと交換すると思います。
その後、数字を変えて、何度も交換ゲームをしてください。

<参考>
「最初から子どもの手元に【3】と【1】のカードを置いて、【4】と交換させればいいのでは」と思ったひともいるかもしれません。
なぜ最初に【1】のカードを4枚置くのでしょうか。
それには2つの理由があります。

1つ目の理由は、まだ【3】のことを、イマイチ、理解していないためです。
【1】のカードを4枚を置くことで、つぎの効果があります。

「【3】のカードは【1】のカード3枚だと気がつきやすい」

2つ目の理由は、数は、いろいろな数で成り立っていることを、なんとなく気づかせるためです
どういうことなのか、一例をあげます。

(例)
・「【4】は【3】と【1】のカードだけではなくて、【1】のカード4枚でもつくれるんだ!」と子どもが、なんとなく気がつく
・ついでに、このような交換遊びを繰り返していると、子どもが自然に「【4】は、【3】と【1】だけではなくて【2】と【2】のカードの組み合わせでもできる!」などと気がつく

なぜ、このような「気づき」が必要なのでしょうか。

今後、「10=●+▲の●と▲の数字の組み合わせ」を考える機会があります。
このときに「『4=3+1』だけではなく『4=1+1+1+1』『4=2+2』もある!」と気がついていると、かんたんにわかるためです。

ちなみに、すぐに交換できる子どももいると思いますが、最初からなかなかできないものです。
子どもができないのならば、「【3】は【1】が3枚だよね? 【3】【1】、あわせて何枚ある?」と聞いてみてください。
※もしこれで理解できないようであれば、【3】のカードの近くに【1】のカード3枚を近くに置いてみてください。



それでも、わからないようであれば、何度も手本を見せてあげてください。
小さな子どもの脳は「パターン」で覚えるようにできているといわれているので、何度も手本を見せているうちにわかることが多々ありますから。

というわけで、ここの目標と練習問題です。

<目標>
たとえば、以下がわかる。

「【1】【1】【1】【1】 → 【1】が3枚、【1】が1枚 → 前者は『3』のカードと交換。【1】のカードは残る → さらに『4』のカードと交換」

<練習>
・【1】の枚数を変えて、練習させてください。


交換ゲームとたし算を紐づけよう!

子どもの手元に【3】【1】を置いてください。
自分の手元には【2】【3】【4】【5】【6】を置いてください。


そして、「3+1はいくつ?」と聞いてみてください。

まだ、たし算を教えていないので、子どもはワケがわからない顔をすると思います。

そこで、すかさず「3+1は、3と1をあわせていくつになるかってこと。ほら、そこに【3】と【1】のカードがあるよね。あわせるといくつ?」と聞いてください。

「4」と答えると思います。

答えられないなら、先ほどと同じように教えます。

「【1】のカードは1枚だよね。【3】は【1】のカード何枚だった?」と聞いてください。
「3枚」と答える思います。
そして「【1】のカードが1枚。【3】で3枚分。ぜんぶで何枚?」と聞いてください。

仮にこれで答えられないなら、子どもの手元にある【3】のカードに【1】のカード3枚を近づけて、「【1】のカードはあわせて何枚ある?」と数えさせてください。
「4」というと思います。

これで、子どもは、たし算とは何なのか、なんとなくわかったと思います。

仕上げに、子どもの手元に紙を置いて「3+1=4」と書かせてください。そして、「この3は【3】のカードのこと。1は【1】のカードのこと。あわせて4枚だったよね。だから4と書いているの」と教えてください。

あとは、これを繰り返していくだけです。
たとえば――。

子どもの手元に【2】【1】のカードを置いてください。
自分の手元には【2】【3】【4】【5】【6】を置いてください。

そして、「2+1はいくつ?」と聞いてみてください。

答えられないなら、すかさず「2+1は、2と1をあわせていくつになるかってこと。【1】は1枚だよね。【2】は【1】のカード2枚だよね。あわせると?」と聞いてください。
「3」というと思います。
最後に紙に「2+1=3」と書かせてください。

これがスッとできるまで何度も繰り返してくださいね。

<目標>
・手元にある【3】【1】のカードを見て、「3+1=4」といえるようになる
・紙にたし算の式を書いて答えられるようになる(「3+1=4」を書けるようになる)


繰り上がりのない足し算を計算させよう!(数字カードを使うのはあり)

紙に「3+2=」を書いて「この答えは?」と聞いてみてください。
わからないようなら、数字カードを使って解かせてみてください。

これで、かんたんな、たし算ができるようになると思います。

ちなみに、子どもに、たし算とは何か詳しく説明したくなるかもしれません。しかし、子どもが小さければ小さいほど、余計にわからなくなります。この時点では、「なんとなく、わかった」で構いません。足し算の計算をさせて、ある程度、理解が進んだ時点で、あらためて話すといいでしょう。

<目標>
・「3+1」のような、たし算ができるようになる

<練習>
紙につぎの式を書いて、子どもに計算させましょう(数字カードを使っても可)
※「1+6」以降、「2+4」以降など、数字が大きくなると途端にできなくなる子どももいると思いますが、成長するとすんなりできるようになるので、無理をさせる必要はありません。

・1+1
・1+2
・1+3
・1+4
・1+5

・2+1
・2+2
・2+3
・2+4

・3+1
・3+2
・3+3

・4+1
・4+2

・5+1


(レベル4)「5=〇+△」をできるようにする交換ゲーム!

たし算といえば「2+3=5」のような形を思い浮かべると思いますが、つぎのような問題もあります。

(例1)「5=〇+△」になる〇と△は何?
(例2)5は〇と△をあわせた数。〇と△は何?

小さなうちから、このような問題を解いておくと頭が柔らかくなります。
それだけではありません。
現時点の学校指導要綱だと、この手のタイプの計算をさせられるようです。
幼少期の今、勉強させておくとお得ですよね!

というわけで、ここでは、数字カードを使って上記のようなタイプの問題を解かせていく方法を紹介します。

さて、数字カードはすでに紙でつくっていますよね。
あとは、紙につぎのように書くだけで、今回の訓練ができます。



さっそく、はじめていきましょう!
まずは、子どもの手元に、さきほどの紙とえんぴつ、それと、いろいろな数字カードを置いてください。



そして、自分の手元に【4】の数字カードを置いて「4にするには、その紙にどのカードを置けばいい?」と聞いてください。

たぶん、わからないと思います。
そこで、「交換ゲームを覚えてる? 【4】のカードと交換してみて」と聞いてみてください。
※交換については、別のページで解説しています。

・子どもが【4】のカードと【1】のカード4枚を交換した場合 → 「紙には2個しか置くところがないよね。枚数が多いんじゃない?」という
・子どもが【4】のカードと【1】のカード2枚、【2】のカード1枚と交換した場合 → 上記と同じ。

そのうち、正解を出すと思います。
正解すれば、別の組み合わせがあることも教えてあげてください。

(例)子どもが紙に【1】と【3】のカードを置いた場合
「【1】のカード2枚と【2】のカードが交換できるよね。だから、【2】のカード2枚でもいいんじゃない?」
※実際は、もうすこし、かみくだいて説明してあげてください。

これができれば、あとは練習あるのみ、です。
自分の手元に【3】や【5】などを置いて、子どもに考えさせてあげてください。

これがすんなりいくかどうかは交換ゲームをどのくらいしたのかによります。わかっていなさそうなら、もうすこし交換ゲームをしましょう。

<目標>
「5=●+▲」の●や▲を言えるようになる(組み合わせはまだすべていえる必要はありません)。

<練習>
●や▲にはいる数字を考えさせてみましょう。

・2=●+▲
・3=●+▲
・4=●+▲
・5=●+▲
・6=●+▲

なお、できるならば「7=●+▲」「8=●+▲」「9=●+▲」などもさせてほしいのですが、まだ難しいと思います。
今はできならまださせる必要はありません。


(レベル5)組み合わせをすべて言えるように交換ゲーム!

はじめのうちは、【4】のカードを見せて、子どもが紙に【1】と【3】のカードを置くだけでOKとしてください。
※この際、親がほかの組み合わせを教えてください。

それを繰り返して練習していると、すんなりできるようになると思います。
そのタイミングで、子どもに組み合わせをすべて言わせるようにしましょう

たとえば、【5】のカードを手元に置いて、子どもが【1】【4】の組み合わせをつくったとします。

このとき、「【1】と【4】以外に、まだあるよ?」と、子どもに考えさせましょう。

なお、【1】【4】と【4】【1】のように順番がちがう場合、どうすればいいのでしょうか。

理想は、たし算は順番をいれかえても答えが同じになる、また、なぜそうなるのかを教えることです。
しかし、自然にわかるようになるので、すこしでも難しそうだな、と思えば、いまは教えなくても構いません。

<目標>
「5=●+▲」の●や▲を言えるようになる(組み合わせも、できれば全部言えるようになる)。

<練習>
●や▲にはいる数字を考えさせてみましょう。組み合わせも、できれば全部言えるようにしてください。

・2=●+▲
・3=●+▲
・4=●+▲
・5=●+▲
・6=●+▲

なお、こちらはまだ「7=●+▲」「8=●+▲」「9=●+▲」をしなくてもいいです。


(チャレンジ!)空欄を3つにした交換ゲーム!

さきほどと、ほぼ同じです。
今度は、紙の空欄を3つにします。
これだけで、難易度は一気にあがります。



教えかたは空欄2つのときと同じです。

・自分の手元に【8】のような大きめの数字カードを置く
・まずは1つでも組み合わせをつくらせる練習をする
・それができれば、すべての組み合わせをつくらせる

ただ、まだ1桁のたし算しかできないので、1回子どもに教えて無理そうなら、空欄3つのパターンは教えなくてもいいです。
繰り上がりがある足し算を勉強したあとに、空欄3つの場合を再チャレンジするといいですよ!

<目標>
空欄3つの場合も、組み合わせもすべて含めてできるようになるのが理想ですが、ほとんどの子どもには難しいと思います。
チャレンジなので、「今」は、できなくても構いません。

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