長さと水のかさ(単位の換算)

小学2年生で学習する単位の換算をどのように教えればいいのかを解説しています。


長さと水のかさ(単位の換算)

二年生では、つぎの2つの単位の換算を勉強します。

<長さの単位>
・長さ:1cm = 10mm

<量の単位(水のかさ)>
・1L = 10dL
・1L = 1000mL
※中学受験を考えているなら、ついでに「1dL=100mL」も勉強させましょう。

たった、これだけですが、つぎの2点で子どもはつまづきます。

・子どもに英語を教えていないのならば、まずはアルファベットでつまづく
・まだ数の概念があやふやなので、計算でつまづく

「こんなかんたんなことなのに、本当につまづくの?」

そう感じてしまうと思います。
そこで、子どもの視点に立ってみます。

・1234ぽぴぱ=3424ぱぺぺぽ
・123034ぱぺぺぽ=12ぴぱ

これらを覚えないといけないと言われたら、どう思いますか。
単位の「ぽぴぱ」「ぱぺぺぽ」は頭に入らないですし、1234がなぜ3424になるのか換算もよくわからないと思います。
子どもにとれば、このくらい難しいことなのです。

そこで、3段階で教えます。

【STEP1】単位を覚えさせます。このときに「イメージ」を植えつけます。
【STEP2】単位を身近なものとリンクさせます。定規を使うなどして、体験させます。
【STEP3】単位の換算の計算法を教えます。ただ、三年生の「×10」「×100」「×1000」「÷10」「÷100」「÷1000」を教えてからのほうが効率的なので、本格的な計算法は三年生にしています。

STEP2は軽視されがちですが、実際にモノを使って体験することはかなり大切だと思っています。何度も経験させましょう!

【STEP1】長さの単位の暗記。イメージを植えつけよう!

子どもに、つぎのものを覚えさせます。

<長さの単位>
・cm(センチメートル)
・mm(ミリメートル)

このとき、漢字のように何度も描かせてもいいのですが、ついでに「どちらが長いのか」のイメージも植えつけるといいでしょう。
あと、覚えさせるときは、かならず「読み」も一緒に暗記させるようにしましょう。

具体的には、つぎの図をそのまま何度も描かせるといいでしょう。

<長さの単位>



ちなみに、中学受験を考えているわけなので、kg、t、mgの単位も覚えさせていいと思います(どうせ忘れますが、繰り返し覚える機会をつくれば定着が良くなります)。

【目標】長さの単位を覚える


【STEP2】長さは定規とリンクさせて教えよう!

まずは、定規と紙を子どもに渡して、定規の「cm」「mm」を教えてください。
あとは、ひたすら「10cmの直線を描いて」「5mmの直線を描いて」などと線を描かせましょう。

とにかく数をこなすことが大切です。
何本も線を描かせるといいでしょう。

【目標】
・cmで線を描ける
・mmで線を描ける


【STEP3】長さの単位の変換をすこし教えよう!

小3で学習する「×10」「×100」「÷10」「÷100」を習得してから単位の変換の計算法を学んだほうが効率がいいです。
しかし、学校では小2でも教えるので、かんたんな計算法を紹介します。

紙に「1cm4mm」と書いて、紙にその長さの線を描かせてください(定規を使わせてください)。

わからないと言うと思うので「1cm4mmは1cmと4mmってこと。1cmの線を描いて、その隣に4mmの線を描けばいいんだよ」と教えてください。
これで子どもは「1cm4mm」の線を描けると思います。

線を描いたあと、1cm4mmの線に定規を当てさせて、「1mm、2mm、3mm…と数えていって」と線の長さを、mmで、はからせてください。
子どもは1mm、2mm、3mm…と数えていきますが、「10mm」といった瞬間、止めてください。
そして「10mmのところは1cmになっているよね」と確認して、紙につぎのように書いてください。

「1cm=10mm」

「1oが10個集まって1pになる」「1pは、1oが10個あるってこと」と念押ししてください。

ふたたび、11mmから数えさせてください。
12mm、13mm、14mmと数えていって14mmとなるとわかると思います。

「1cm4mmは、14mmだったね」と教えて、紙につぎのように書いてください。

「1cm4mm=14mm」

「1cm4mmは1cmと4mmだよね。1cmは10mmだったよね。それと4oだから『10mm+4mm=14mm』と考えることもできるんだ」と教えてください。

これが簡易版の単位換算です。
あとは、類題を解かせていきましょう。

(問)「2cm5mm=□mm」の□は?

「2cmは、1cmが2つだよね。1cm=10mmだから、2cmは20mmだよね」と教えるだけで解ける子どもはそれでOKです。
わからないようならば、定規で線を描かせましょう。
線を描かせているうちにわかるようになります。
答えは「25mm」です。

(問)「35mm=□cm△mm」の□と△は?

「10mmは1cmだよね。30mmは10mmが3つだから3cmだよね」と教えるだけで解ける子どもはそれでOKです。
わからないようならば、定規で線を描かせましょう。
線を描かせているうちにわかるようになります。
答えは「3cm5mm」です。

なお、ここで実際に線を描かせないと力にならないので、面倒と思っても線を描かせるようにしましょう。
また、できないのなら、数字を変えて繰り返し線を描かせるようにしましょう。

【目標】
・1cm=10cmがわかる
・つぎの単位の変換ができる
「2cm5mm=□mm」の□は?
「35mm=□cm△mm」の□と△は?


【STEP1】量の単位の暗記。イメージを植えつけよう!

子どもに、つぎのものを覚えさせます。

<量の単位(水のかさ)>
・L(リットル)
・dL(デシリットル)
・mL(ミリリットル)

このときも「どちらが量が多いのか」のイメージを植えつけるといいでしょう。
あと、覚えさせるときは、かならず「読み」も一緒に暗記させるようにしましょう。
具体的には、つぎの図をそのまま何度も描かせるといいでしょう。

<量の単位(水のかさ)>


【目標】量の単位を覚える


【STEP2】水のかさは日用品とリンクさせよう!

子どもの目の前に、ペットボトル、コップ、小さじを置いてください。
そして、つぎのように教えてください。
※この際、できるだけ、正確な量を教えたほうがいいのですが、なかなか、ちょうどいい量がないので、だいたいで構いません。

・1L(リットル)は、ペットボトルの半分(空の容器)
・1dL(デシリットル)は、コップ1杯
・1mlは、小さじ1杯

なお、実物がなければ絵でも構いませんが、実物のほうがいいです。


「バケツの水の量(かさ)をはかりたいとき、ペットボトル、コップ、小さじのどれを使えばいいと思う?」と聞いてください。
※子どもの目の前にバケツに水をいれて置いてください。もう1つのバケツを隣に置いてください。かならずしもする必要はありませんが、そのほうが効果的です。


子どもは何を言っているかわからないと思います。
そこで、つぎのように言ってください。
※実際にさせたほうが効果的です。

・「バケツの水の量を、小さじで、はかってみるね」
・「バケツから小さじ1杯分の水をとって、それを別のバケツにうつすね。これで1mlだよね」
・「またバケツから小さじ1杯分の水をとって、それを別のバケツにうつすね。これで2杯目。2mlだよね」
・「3杯、4杯…とずっとしていくんだけど…。ものすごくたくさん数えないといけないんじゃない? 数えられる? 無理だよね」

これで、子どもは何を聞きたかったのか、わかったと思います。
続けて「じゃあ、つぎにコップではかってみたら、どうなると思う? コップ1杯でだいたい1dLだよね。2杯、3杯…。数えていくよね。数えようと思えば数えられるけど、たいへんじゃない? ペットボトルではかったほうがいいよね」と言ってください。

最後に「じゃあ、バケツにどのくらいの水がはいっているのかあらわすとき、L、dL、mlのどれを使えばいいと思う?」と聞いてください。
「L」と答えると思います。

このようにして、子どもに、身近なもので、L、dL、mlの量のちがいをわからせましょう。
ここは、ものすごく大切なプロセスです。
日をあけて繰り返し聞いてみましょう。

【目標】身近なもので、L、dL、mlのちがいがわかる


【STEP3】大ざっぱに水の量をはかりながら、単位の換算をすこし教えよう!

※風呂場でしましょう。

ペットボトル、小さめのコップ、小さじを用意してください。
洗面器に水をいれて「洗面器の水を、コップを使ってペットボトルにいれて。ペットボトルの半分までね」といってください。
だいたい10杯くらいで、半分くらいになると思います(5杯くらいかもしれません)。

ペットボトルにはいった水をすべて出して、つぎに「洗面器の水を、小さじを使ってペットボトル半分まで水をいれて」といってください。

ぜんぶ入れられないと思います。
途中でとめて「小さじだと、何回も何回も何回も…ペットボトルに水をいれないといけないよね」と確認してください。

最後に、「洗面器の水を、小さじを使ってコップにいれて」といってください。
こちらもぜんぶ入れられないと思うので、途中でとめて「小さじだと何回もコップに水をいれないといけないけど、ペットボトルほどではなかったよね」と確認してください。

ここまでできればOKです。
テーブルに移動しましょう(もちろん、日をあらためてもいいです)。
絵を描きながら、つぎのように話します。

「ペットボトル半分までコップで水を入れていったけど、だいたい5〜10杯だったよね」


「ペットボトル半分は1Lと思って。コップは1dLで10個あったと思って。そうすると、1L=10dLになるよね」



「『1Lって、何dLだったっけ?』と思ったら、ペットボトルとコップを思い出して。コップ10杯でペットボトル1L分になったよね。だから、1L=10dLだと思い出せるから」

「つぎは、ペットボトルと小さじを思い出して。小さじの水をいくら入れていっても、ペットボトルの水はたまらなかったよね。



「実は、小さじ1000杯で、ペットボトルの水がたまるんだ。1Lにするには、1000ml。だから1L=1000mlなんだ」



ついでに、「コップと小さじを思い出して。小さじでコップに水を入れるには、実は100回入れないといけないんだ。コップは1dLだよね。小さじは1mlだよね。小さじ100回、すなわち100mLで、コップ1杯、すなわち1dLになるんだ」と教えてください。

最後に「1L=10dL」「1L=1000ml」「1dL=100mL」と確認しましょう。

【目標】
・1L = 10dLがわかる
・1L = 1000mLがわかる
・1dL=100mLがわかる


【STEP3】水のかさの単位変換は、長さの単位変換を先にしっかりやっておこう!

これから、子どもに「2L5dL=( )dL」のような単位変換を教えますが、「2cm5mm=( )mm」とほとんど同じです(単位がちがうだけです)。
長さの単位変換がしっかりできれば、「LとdLの変換」は、それほど苦労しないので、長さの単位変換に不安があるひとは、まずは長さの単位変換からさせてください。

というわけで、問題です。
子どもにいきなり考えさせましょう。

(問)1L5dL=( )dL

「1L5dLって、『1Lと5dL』ということ。1Lってペットボトルの水半分だったよね。1dLはコップ1杯だったよね。だから、1Lと5dLを図にするとこうなるよね」と言って、下図を描いてください。



「これをdLにする、すなわち、ぜんぶコップにするわけ。ペットボトルのほうをコップにしないといけないよね。どうなると思う?」と言って、下図を描いてください。



「これでわかったよね。1L5dL=1Lと5dL=10dL+5dL=15dL」

(問)2L4dL=( )dL

「2L4dLは2Lと4dLだよね。で、2Lは1Lのペットボトルが2つ。4dLは1dLのコップが4つ」と言って、下図を描いてください。



「あとは、ペットボトルをコップにすれば答えがわかるよね。10+10+4で、24dL」


(問)2L4dL + 1L2dL = ( )L( )dL

「絵にするとすぐにわかるから絵で描いてみるね」と言って、下図を描いてください。



「ペットボトル同士を足して3L。コップ同士を足して6dL。だから、答えは3L6dL」

(問)2L8dL + 1L3dL = ( )L( )dL

「絵にするとすぐにわかるから絵で描いてみるね」と言って、下図を描いてください。



「あわせると、こうなるよね」と言って、下図を描いてください。



「3Lと11dLになるよね。でも、11dLのうち、10dLは1Lのペットボトルにできるよね」



「だから、答えは4L1dLになるんだ」

(問)2L4dL − 1L8dL = ( )dL

「はじめのうちはわかりにくから絵にしてみるね」と言って下図を描いてあげてください。



「まずはコップだけど、4dLから8dLは引けないよね。この場合はペットボトル1本をコップにするんだ。そうすると、コップは14dLになるから8dLを引けるよね。6dL」



「だから、答えは4dLになるんだ」

【目標】
・2L4dL+3L5dLのような計算ができる

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